11月27日 第3回定例会

8番(井上ノエミ君)ありがとうございます。私はみんなの党の井上ノエミです。
 まず、6月の定例会でも質問しましたが、多くの高齢者が被害に遭っている振り込め詐欺についてお伺いします。
 最近は、手口もいろいろあって、全国では被害額は昨年に比べて7割も増えています。多くの高齢者が財産をなくしていますが、墨田区内の被害は現在どのような状況でしょうか、お伺いします。
 また、墨田区民の財産を守るために、あらゆる対策をとるべきです。例えば区役所から高齢者に健康保険証などを送るときに、手紙かパンフレットを同封して注意してはどうでしょうか。山崎区長にお伺いします。
 次に、防災対策についてお伺いします。
 私は、平成23年11月の定例会で荒川の洪水対策について質問しました。荒川が洪水を起こすのは、3日間の降雨量が548ミリで、それは200年に1回だと予測されています。ところが、先月、大島を襲った台風26号では、24時間の降雨量が824ミリでした。これは観測史上の最高記録です。また、関東地方でも成田市で327ミリ、鹿嶋市で362ミリなど観測史上最高の記録です。地球温暖化の影響で、今月、フィリピンが台風で大きな被害を受けました。日本でも異常気候で荒川の洪水の可能性は高まっています。インターネットのユーチューブには、国土交通省が作成した「荒川氾濫」という映像があります。是非皆さんも見てください。荒川は「荒れる川」だから「荒川」と呼ばれるそうです。
 墨田区は今、大きな危険にさらされています。大島では町長と副町長が不在で避難命令を出さなかったことが、大きな被害につながったようです。夜間であったこともありますが、災害は昼間に起こるとは限りません。十分な対策があれば、多くの人の生命を救うことができたと思います。墨田区は、今回の大島の教訓を活かさなければなりません。
 大島では、避難勧告を夜中の12時前に出していれば被害は少なかったと言われています。避難勧告を出すタイミングが遅れれば、住民が避難する時間がなくなり被害が大きくなります。墨田区においては、荒川の洪水の危険がある場合に、どのタイミングで避難勧告を出すのでしょうか。住民は何時間、避難する時間があるのでしょうか。水が来るまでに住民全員が避難できるか、お伺いします。
 また、今年の8月から気象庁は特別警報の運用を始めました。この警報が出されたときには、すぐに生命を守る行動をすることになります。つまり、避難するわけです。新しい制度ですから、区民に宣伝する必要があります。墨田区の広報紙で取り上げていただきたいと思いますので、山崎区長、是非よろしくお願いします。
 次に、災害のための情報連絡システムについてお伺いします。
 墨田区は、情報連絡の複線化に取り組んでいます。私は、地域で一番役に立つ連絡手段は学校のスピーカーだと思います。深夜であっても、学校のスピーカーを使用すれば、近隣の住民に避難を連絡することは可能だと思います。そこでお伺いしますが、学校のスピーカーを夜間に使用するときには、誰が学校の鍵を持っているのでしょうか。また、誰がスピーカーを操作して住民に避難を呼び掛けることになっているのでしょうか。
 また、墨田区が行う防災訓練においても、情報連絡についての訓練をする必要があると思います。学校や病院などの区内関係者に速やかに災害の連絡が行くかどうかを、毎年の防災訓練でも実施するべきと思いますが、いかがでしょうか。山崎区長にお伺いします。
 また、区民に対してハザードマップを配布することも大事ですが、読まない人も多いと思います。葛飾区では、電柱に浸水の高さを示すステッカーを貼っています。私は、これはすばらしいアイデアだと思います。これを墨田区でも是非やってはどうでしょうか。区長のご見解をお伺いします。
 今回、環境省は、東日本大震災の教訓から、「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を作成しました。これによれば、災害時にはペットも一緒に避難することを勧めています。洪水のときにペットを置いていけば、おぼれて死んでしまいます。ペットと一緒に避難できれば、飼い主は安心できます。ただ、ほかの人に迷惑を掛けないように、飼い主がその準備をする必要があります。
 したがって、墨田区は飼い主に対して、ペットとの同行避難について説明する必要があります。大事なペットを災害で失うことのないように、来年度からこの説明会を始めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。また、ペットの同行避難のために墨田区の防災計画も改定する必要があると思いますが、山崎区長のご見解をお伺いします。
 次に、災害時の飲料水についてお伺いします。
 学校には飲料水のろ過機が設置されていて、飲料水が不足したときには、このろ過機を使用することになっています。現在、区内にはこのろ過機が80基あると理解していますが、このうち使用可能な機械は幾つありますか。また、毎年、テストをしているでしょうか。また、誰が機械を操作するのでしょうか。また、洪水のときにも使用することは可能かどうかお伺いします。
 次に、震災のときのトイレ対策として、今年度も多くの学校にマンホールトイレが設置されます。このトイレを災害時に設置して管理するのは誰でしょうか。消防団員がやることになるのでしょうか、お伺いします。
 次に、墨田区の観光対策、特に両国地域の振興策についてお伺いします。
 両国駅前には両国駅広小路ができました。駅前で非常によい場所です。両国に来てよかったと思える場所にしていただきたいと思いますが、墨田区として、この広小路の使用については、どのように考えていますか、お伺いします。
 また、両国駅には相撲の力士の手形が飾ってあります。多くの人がこの手形を見ています。アメリカのロサンゼルスのハリウッドには、有名な映画俳優の手形が歩道にあって大変有名です。国技館の前の歩道に力士の手形をつけてはどうでしょうか。東京オリンピックまでには東京の観光名所になると思います。山崎区長のご見解をお伺いします。
 次に、教育委員会について、横山教育長にお伺いします。
 今、学校が抱えているいろいろな問題は、大変深刻だと思います。そして、多くの区民が墨田区の学校をよくしてもらいたいと思っています。
 教育委員会制度は、教育委員がメンバーの教育委員会が重要な方針を決めます。そして、教育長が実行するという制度です。委員会は、どうすればいじめをなくせるか、どうやって学力を上げるかなどの大事な方針を決めるわけです。


 今年度の委員会の開催時間を調べてみました。4月から9月までの委員会のうち10分で終わったのが2回、ほとんどが1時間以内です。議論の内容を見ても、事務局の決めたことを認めるだけです。
 そこで、横山教育長にお伺いしますが、法律によって、教育に関する事務管理の基本方針に関しては、教育長に委任してはいけないと決められています。教育委員は委員会で基本方針を決める必要がありますが、そのための議論をしていますか。実際には基本方針は教育長に委任されているのではないでしょうか、お伺いします。
 文科省は、最近、教育委員も、住民の代表である議会に対して説明責任があると言っています。墨田区の教育に関して責任を負っているわけですから、当然だと思います。区議会では、いじめや学力などの問題がしばしば質問されています。区議会での質問について、事務局は委員に対して報告しているのかお伺いします。
 また、小・中学校の校長先生にも、区民の代表である区議会議員の質問について報告していただきたいと思います。それによって、校長先生は区民が学校に何を期待しているか理解できると思います。いかがでしょうか、お伺いします。
 次に、いじめの問題についてお伺いします。
 墨田区には多くの外国人や国際結婚の家族が住んでいます。以前、群馬県では、母親が外国人の子どもがいじめに遭い、自殺した事件がありました。これまでの墨田区の調査で、外国人やハーフの子どもにいじめのケースはありますか。また、子どもたちに対して、人種差別について教えていただきたいと思います。教育委員会は何か対策を実施していますか、お伺いします。
 また、小学校の英語のクラスでも、他の文化を理解して尊重する活動を是非入れていただきたいと思いますが、英語のクラスでの異文化理解のための活動内容についてお伺いします。
 これで質問を終わります。ありがとうございます。(拍手)
   〔区長 山崎昇君登壇〕
◎区長(山崎昇君) ただいまのみんなの党、井上議員さんのご質問に、順次お答えをいたします。
 最初に、高齢者の生命・財産を守る対策についてお尋ねがございました。
 区内の振り込め詐欺の現状についてでございますが、本所・向島両警察署の本年1月から10月末現在43件、金額にいたしまして約1億4,277万円の被害が発生をしております。
 私といたしましても、多くの高齢者が被害者となるこの状況は見過ごすことはできないと考えており、本所・向島両警察署と協力して振り込め詐欺防止に積極的に取り組んでいるところでございます。
 井上議員さんからご提案の保険証郵送時のチラシ等の同封につきましては、他の案内の送付時への同封も含めまして既に実施をさせていただいているところでございます。
 次に、防災対策について何点かご質問をいただきました。
 まず、避難勧告についてでございます。
 ご承知のとおり、荒川は国の洪水予報河川に指定されておりまして、水位の状況に応じて、洪水に関する情報が気象庁及び国土交通省から発表されることとなっております。
 墨田区地域防災計画では、原則として氾濫注意情報が発表されたときには避難準備情報を、氾濫警戒情報が発表されたときは避難勧告を、氾濫危険情報が発表されたときには避難指示をそれぞれ発することとなっております。これは降雨の状況や天候の変化の予測を踏まえて、区民の皆さんへ氾濫の危険性に応じた情報提供を行うものでございます。したがいまして、避難準備情報の段階から逐次広報を行うことによりまして、区民の方々に万一の事態への備えが促されることになりますので、避難のための一定の時間は確保できるものと考えております。
 次に、特別警報についてでございます。
 気象庁では、本年8月30日に特別警報の運用を開始いたしました。特定の地域で数十年に一度の重大な災害が起こるおそれがあるときに出されるものでございまして、ご提案の区報での周知につきましては、ホームページによる方法も含めまして検討させていただきます。
 次に、防災情報システムについてでございます。
 区では、区民への災害時の情報連絡手段として、学校のスピーカーによるのではなく、地域に設置しております防災行政無線によることとしております。防災行政無線の屋外スピーカーは区内に65カ所設置しており、その操作は学校ではなく区役所5階の防災センターの無線指令室で行っております。休日や夜間に災害が発生し無線放送を行う場合は、防災課職員をはじめ臨時非常配備職員が庁舎に参集いたしまして放送業務に当たることとなります。
 また、防災訓練における情報伝達訓練の実施のご提案でございますが、毎月、本庁舎、区施設及び防災関係機関との間で無線交信訓練を実施いたしているほか、毎年、災害対策本部運営訓練をはじめといたしまして情報伝達訓練を複数回実施させていただいているところでございます。
 次に、洪水の危険性の周知についてでございますが、区では今年度、従来の洪水ハザードマップに都市型水害のハザードマップを加えた新たなハザードマップを作成し、全戸配布することにより、洪水や都市型水害の危険性の周知を図ることといたしております。
 併せて、公園や学校などの一時集合場所等に海抜表示板を設置する準備も進めております。海抜表示板は、その付近の東京湾平均海面からの地盤の高さを表示するもので、これによりまして日常的な水防意識の啓発と万一の水害時避難行動の一助となりますので、ご理解をお願いいたします。
 次に、災害時におけるペットとの同行避難を進めるための啓発と墨田区の地域防災計画に同行避難を盛り込むべきとのご提案がございました。
 区では、毎年行っている「犬のしつけ方教室」等において、平成23年3月に策定した「避難所におけるペットの救護に関するマニュアル」に基づきまして、飼い主の方に同行避難やそれに伴うしつけ、ペット用の防災用品の備蓄について説明を行っております。また、総合防災訓練におきましても、東京都獣医師会墨田支部のご協力のもと、動物救護所を設置し、対応訓練のほか災害時のペット対策についての普及啓発を行っております。
 墨田区地域防災計画では、同行避難についての規定はありませんが、区が行う取組として、飼い主とともに避難した動物の適正な飼育の指導について規定しているところでございます。
 次に、災害時の飲料水の確保についてでございます。
 区内に配備しているろ過機80基は、災害に備え保守点検を毎年行い、常に使用可能な状況にしております。なお、災害時におけるろ過機の操作は職員や地域住民が行うこととなっており、ご質問の洪水の場合をはじめ、災害時に必要に応じて使用することになります。
 震災時のトイレ対策でございますが、区では災害時のトイレ確保は重要な課題と認識しており、避難所となる学校にマンホールトイレの整備を進めております。災害時にはトイレ用のテントを組み立てて使用に供することとなりますが、設置管理については避難所運営を担う職員や地域住民が行うことになります。
 私に対する最後の質問は、観光振興策についてでございます。
 まず、両国駅広小路の活用についてでございます。
 これは、鉄道事業者が地域と連携したイベント等への活用ができる広場空間として両国駅前に整備したもので、地域主催イベントや区関連事業の開催会場としても活用されております。両国駅は、相撲、葛飾北斎をはじめ江戸時代からの文化が今でも色濃く残り、観光資源が豊富な両国地域の玄関口であり、また、東京スカイツリーからの観光回遊性を促進するためにも、本区にとって重要な拠点でございますので、今後も観光回遊性向上のために各種事業等への協力や連携を呼び掛けてまいりたいと存じます。
 次に、歩道への力士の手形の設置についてでございます。
 既に両国駅から回向院の国技館通り歩道上に横綱手形モニュメントがございますが、国技館はオリンピック会場の一つとなる予定でございますので、今後、日本相撲協会とも相談しながら、何が設置可能かについて検討してまいりたいと存じます。
 井上議員さんのご質問に対する答弁は以上でございます。
   〔教育長 横山信雄君登壇〕
◎教育長(横山信雄君) みんなの党、井上議員さんからの質問に、順次お答えをいたします。
 まず、教育委員会の事業の執行に関連した質問にお答えいたします。
 教育に関する基本方針及び事務管理には、例えばすみだ教育指針やそれに基づく各種施策事業が該当いたしますが、こうした方針や施策事業は、「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」の規定に基づき、具体的には例えば年度ごとの教育の主要課題の徹底などについて、教育委員会の責任において決定し、その管理及び執行状況についても第三者評価を経て教育委員会でチェックをいただいております。また、本年度からは、教育委員会の審議活性化策の一つとして、いじめ、不登校、体罰に係る問題への対応をはじめ、六つの重点課題を設定し、毎月、その進捗状況や課題について事務局から報告し、これに基づき委員会において議論をいただいているところでございます。
 なお、教育委員会の定例会における審議時間につきましてはご指摘のとおりでございますが、各学校の個別の状況に係る問題、児童・生徒の個人情報に係る議論等については定例会とは別に行っている場合もあり、実質的な委員会活動はご指摘の時間よりも長く行っておりますので、ご理解のほどお願い申し上げます。
 いずれにいたしましても、教育長として今後とも教育委員会の審議の一層の活性化に努めていく所存でございます。
 次に、区議会での質疑内容等について、事務局は教育委員会や学校長等に報告しているかとのご質問でございます。
 区議会での本会議や委員会での審議内容につきましては、要点筆記による記録を作成し、教育委員会で配布するほか、特に重要な内容につきましては事務局から説明を行っており、この記録を参考として議論がされる場合がございます。
 また、校長等に対しましては、事務局の各課長と小学校長、中学校長及び幼稚園長の全員が一堂に会する定例校長会を毎月開催しており、そこで教育に係る方針伝達や情報交換を行っておりますが、この校長会でも同様に区議会の審議に係る参考記録の配布や説明を行っております。
 なお、区議会での審議内容につきましては、今後の教育施策の展開を方向付ける重要な要素であると認識しておりますので、今後とも教育委員に対する周知徹底に努めていきたいと考えております。
 次に、学校でのいじめ対策に関するご質問にお答えいたします。
 まず、外国人や国際結婚の家庭の子どもがいじめられている例があるかどうかについてのご質問がございました。
 保護者や本人が外国人のお子さんがいじめを受けたという事例は、過去に数件ございましたが、それらの事例につきましては、友人関係のトラブルなどが要因でいじめとなったもので、保護者や本人が外国人であるという理由でいじめに発展したケースはございませんが、いじめの行為の中で外国や外国人に関するからかいや差別的な発言があったものもございます。現在、区立学校には保護者や本人が外国人である児童・生徒が多く在籍していることから、教育委員会では人権課題の中でも外国人の人権問題について、区の重点課題として位置付けて、これまでも各学校で道徳や総合的な学習の時間等において、外国人への偏見や差別の解消に向けた指導を徹底してまいりました。
 今後も、いじめは絶対に許されない人権問題であるとの認識を深める指導を行うとともに、道徳教育や心の教育を通して、人種や民族、国籍を問わずすべての人の人権や互いの国の文化を尊重し、相手の立場を考えて行動ができる人間を育てるための指導の充実に努めてまいりたいと存じます。
 質問の最後に、小学校の英語教育で行っている、他国の文化を理解し、尊重する心情を育てる活動についてご質問がございました。
 小学校で行っている外国語活動は、コミュニケーション能力の素地を養うだけでなく、自他の国の文化理解も目標となっており、本区では独自テキスト「SUMIDA ENGLISH」に基づき、外国や日本の文化に対する興味・関心を高める活動を行っております。具体的には、外国の国旗や名所、さまざまな行事や生活習慣などについて外国人講師から直接話を聞く活動や、英語だけでなく中国語やスペイン語などさまざまな言語であいさつをする活動などを行って、外国の文化に触れる学習を行っております。また、PTAと協力してさまざまな国の料理を味わう行事を行うという学校もあり、体験を通して互いの文化の違いを楽しみ、外国の文化に親しみを持つ取組も行っております。
 今後も、子どもたちが英語に興味・関心を持ち、コミュニケーションを楽しむことができる英語教育を行うとともに、互いの文化を尊重し合うことができる心豊かな子どもたちを育成するよう、更に学校現場で外国の文化に対する理解を深める活動を充実させていきたいと考えております。
 以上で井上議員さんへの答弁を終わらせていただきます。